覚え書き

特撮好きがいろいろ書きます

文鳥と暮らす1

特撮と関係ない話題で恐縮だが、まあ、このブログ自体自分の日記用に始めたから勘弁していただきたい。

 

自分は、生まれたときから鳥と共に暮らしてきた。正確にいうと、生まれる前から。

オカメインコ。『ウルトラマンティガ』に登場した怪鳥シーラキートに変異してしまったシーラと同じ種類の鳥だ。

ウルトラマンティガ』が放送されたのは、私が3歳のとき。TVにシーラが映ったとき、「○○ちゃんとおなじだね」と母に言ったものだった。

雌と雄のつがいだった。雌は15歳、雄は21歳まで生きていた。私の人生の大半はオカメインコとともにあったといってもいい。ちなみに、そういうこともあって、『ウルトラマンティガ』でいちばんすきな怪獣はシーラキートである。

 

 いまは実家を離れて、連れ合いと二人でマンションで暮らしているため、近所迷惑を考えると鳥を迎えるのは難しい。

それでも、鳥と長年暮らしてきた自分としては、やはり鳥のいない暮らしというのはさびしいものはあった。

 

マンションでも暮らせる鳥……。声が大きくなくて、壁や柱などを齧らないような、鳥。

とりあえず、条件に見合う鳥を探してみた。オカメインコは当然アウトだ。彼らは確かに愛らしい。賢くて、べったりと懐いてくれる、その上寿命も20年近くとパートナーにするには最適なのだが、マンションで暮らすには不向きなのである。ばりばり嘴で壁を齧るし、声はかなりよく響くし。実家で暮らしていた当時、家が見えてくると同時に、「ビャアビャア」という呼び声も聞こえてきていたほど。

セキセイインコはどうだろう。そこまで声が大きいイメージはない。だが、インコ系は基本声が大きいし、やはり、あの嘴は強力そうだ。

ならば、インコオウム系から離れるしかあるまい。でも、せっかく暮すなら寿命は10年くらいがいい。寿命が短い生き物だと、なんだか寂しいのだ。かわいくなってきて、愛着が湧いて来て、離れがたくなったときにすぐお別れが来てしまうのだから。なるべく一緒にいる時間が長いほうがいい。

 

そこで見つけたのが、文鳥であった。

文鳥はスズメの仲間のフィンチ系。声もそこまで大きくない。寿命も8~10年。昔から日本で飼育されてきたということもあって飼育の方法の確立されているし、寒さには少し弱い傾向にあるが、四季にも耐えることができる。

ネットで調べるだけではもちろん不十分であるので、本も買って読んでみた。

楽しい文鳥生活のはじめ方 | ナツメ社

 

なるほど、文鳥は乾燥に弱い。それならばと、空気清浄機付き加湿器を購入した。文鳥のストレスになってはいけないからと、静かめの掃除機に買い換えた。

そして、どうやらテフロン加工のフライパンは危険らしい。フッ素樹脂加工フライパンは表面温度240度以上で熱分解、有毒物質が溶け出し、360度以上で有毒ガスが発生するとのこと。実際、フライパンを火にかけたまま放置してしまった結果、落鳥するという痛ましい事故も起こっているようだ。また、電子レンジのオーブン機能も危険とのこと。もしも使用するならば別の部屋に鳥かごを移す必要があるらしい(ちなみに、実家では母がクッキーを焼いたりしていたが、一度もそんな事故はなかったが、それはおそらくキッチンとは別の部屋に鳥かごを置いていたからだろう。)

まあ、一方で現在のテフロン加工製品には危険性はないとの記事もあるし、正しい使い方をすれば(熱しすぎなければ)そんなに問題はないと思うので、素人としては危険性をあまり誇張して書きたくはないし、かといって安全と言い切るのも難しいので、判断は読んでいるかたにお任せしたい。

自分は万が一を考慮して、テフロン加工を用いていないグリーンパンという製品を購入した。我ながら過保護だと思うが、小さい生き物に対しては過保護すぎるくらいでいいと思う。

 

鳥かごや保温用のカバー、おやすみ用の暗幕カバー、通院用のキャリー、ペットヒーターなどを購入して準備万端。あとは文鳥を迎えるだけ。エサは、全く違うものを与えると食べなくなるリスクがあると思い、連れてくるときに店員さんにお聞きして同じものを購入することに決めた。

 

さて、連れ合いとの休みも重なった2月のある日。いよいよ迎えるために近くのペットショップへ向かった。このペットショップはこの地域で40年以上経営している老舗で、店には2歳3歳を超える犬や猫がいたり、店員さんが可愛がり過ぎるあまり、売り物ではなくなってしまったインコたちがいたりと、ほんとうに動物を大切にしている店だ。だからこそ、ここで迎えたいとかねてから思っていた。

正直、自分は生物の生体販売はなくすべきと思っているため、きちんとしたブリーダーから直接迎えるのが理想だと思う。言い訳に聞こえるかもしれないが、このペットショップでは動物の入れ替わりが激しくない(ヒナや子犬・子猫が少ない)ため、信頼できると判断したので購入したのである。

 

最初、連れ合いと自分は白文鳥をお迎えしようと思っていた。白文鳥は白くつやつやとした丸い体と、大きな赤い嘴から、イチゴ大福という愛称をつけられている。そのため、イチゴ大福を見るため、白文鳥を想起する日々を送ってきた。

夢にまで見たイチゴ大福がやってくる。可愛いイチゴ大福がやってくる。そう思って、ペットショップにいる文鳥たちを眺めていた。

 そこには、2羽の白文鳥と、1羽のシルバー文鳥がいた。

 

我々は迷わず、白文鳥を選――ぼうと思ったが、躊躇した。我々は文鳥を1羽迎えようと思って来たのだ。購入した鳥かごも1羽分の広さしかない。それに、文鳥の飼育経験のない我々がいきなり2羽連れて帰るのはリスキーだと思っている。

それなのに、2羽の白文鳥たちは仲良しそうに寄り添っている。ぴったりと。時々ぴいぴい鳴き交わしている。ああ、この子たちを引き離すのか――。

そう思うと、とてもじゃないが1羽だけ連れて帰るなんてことはできなかった。それならばどうしよう。

ふたりで顔を見合わせつつ、隣のプラケースに目を向けた。そこには、白文鳥たちと同じく、生後4か月のシルバー文鳥がいた。1羽だけで。

どうする。連れ合いと話し合った。べつに、白文鳥じゃない文鳥が嫌いなわけではない。この子だってかわいい。充分かわいい。それに、迎えたら、結局うちの子が一番かわいくなってしまうものだ。

さんざん悩んだ結果、シルバー文鳥をわが子にすることに決めた。

 

それが、ちょっちょさんである。

 

ちょっちょさんという名前は、連れ合いが文鳥を迎える前頻繁に「ちょっちょちょっちょ、ちょっちょちょちょ、ぶんちょ」と口ずさんでいて、呼びやすいし響きもかわいいしということで、お迎えした子につけようと決めた名前である。

 

ちょっちょさんは、ペットショップで店員さんが丹精込めて育てていたため、人なれはしているようではあった。親切な店員さんは「お引っ越し祝いに」と、ボレー粉と乾燥青菜をおまけでつけてくれた。

 

さあ、ついにちょっちょさんをお迎えした。あとは無事に家に帰るだけ。マンションまでは徒歩5分、もない。

しかし、道中はハラハラドキドキの連続だ。たかが5分なのになにをおおげさなとおっしゃるかもしれないが、とにかく必死だった。なにせ、ここにいるのは小さな小さな生き物。ちょっとしたことで死んでしまうかもしれない。もし、我々がうっかりすっころんで、ちょっちょさんの入った箱を落としてしまえば、一貫の終わりである。もしここでだれかが肩をぶつけてでもきたら、我々はその人間をぼこぼこにしていただろう。それほどの剣幕で、たかだか5分の道のりを歩いてきたのだ

 

さあ、無事に家に帰って来た。まずは、箱に入れた状態で体重を測ることに。20g。ヒナだと思えば、こんなものだろう。

爪はやや伸びていたが、店員さんにチェックしてもらったところこれといって問題はなさそうな、健康な子だった。

後日健康診断に連れて行くことにし、この日は我が家に慣れてもらうために、ゆっくりしてもらうことに決めた。

 

ちょっちょさんを箱から出そうとするも、出てこない。おびえてるようだ。それはそうだ。中を見ると、かわいそうに、すっかり細くなってしまっていた。このとき、我々はペットショップから連れてきてしまったことを後悔した。ああ、かわいそうに、仲間もいない、育ててくれた店員さんもいない、知らない人間二人に見下ろされている気分は、さぞおそろしいことだろうと。

ためしに鳥かごに箱を近づけると、一目散に鳥かごのなかへ飛び込んでいった。どうやら、おうちが好きなタイプのようだ。まあ、ひとまず鳥かごに入ってくれて安心した。ここは安心できると判断したのかもしれない。

しかし、しばらく見守っていてもご飯を食べるようすはない。やはり緊張しているのだろう。1羽にすれば落ち着くかもしれないと思い、我々は1時間ほど家を出ることに決めた。

 

家を出ている間も気が気じゃなかった。それこそ、帰ったら落鳥しているのではと。それほど、ちょっちょさんのおびえ方は尋常ではなかったのだ。

 

帰宅しておそるおそる覗き込んでみると、ちょっちょさんはちゃんといた。ごはんを漁った形跡はあるが、食べたような様子はみられない。もしかしたら、容器の形が違うからだろうかと思い、鳥かごに付属していたものから、ペットショップで使っていたものと同じ、陶器のエサ皿に買い換えたところちゃんと食べてくれた。やはり、同じ物の方が安心できるようだ。

 

夜になった。飼育本にあるとおり、7時に就寝の準備をした。2月で寒かったのでヒーターを使用した、のだが……せっかく買ったパネルヒーターがまったく暖かくなる気配がなかったので、後日電球型のヒーターに買い換えるまでの間は部屋のエアコンを使ってがんがんにあたためた。昔、保護したスズメのヒナが朝になったら落鳥していることがあったため、迎えた当日の夜は一睡もできなかった。もしかしたら、死んでいるのではないかと、気が気じゃなかった。

 

翌朝6時。おそるおそる、暗幕を開けると……

 

ああ、ちょっちょさんだ。ちょっちょさんがいた。「ぴ!」と元気に鳴いてくれた。


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こちら、お迎えした翌日のちょっちょさんの写真である。

お迎え当日は刺激をなるべく与えないようにしたかったので、写真撮影や観察は控えて、1羽にしていたため初日の写真はない。

 


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ちょっと臆病で、慎重で、人見知りな性格なのか、入り口を開けても、自分からなかなか出てこなかった。

1時間ほどすると、入り口と籠の中をぴょんぴょんと行き来するようになった。

 

そして、何度か躊躇し、考えるようなしぐさをしたのち、ついに翼を広げて舞い上がったのだ。

 

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こちら、記念すべきちょっちょさん初フライト(自宅での)後の写真である。

なんと、ちょっちょさんは、初めてのフライトで私の腕へと飛んできてくれたのだ。なんていい子だろう。

とはいえ、甘えるようなしぐさはせず、じいっと私の顔を見上げていた。「こいつは信頼できるのかな」と見極めていたのだろう。

よく、SNSでアップされているような「おもち文鳥」や「くったり文鳥」にはなっていないが、それはそれでいい。慣れてくれればそれでいい。懐くかどうかは、その文鳥本鳥におまかせするべきである。たとえ懐かれなくたって、我々は心からちょっちょさんを愛し、お世話するつもりでいるからだ。

我々は、自分たちの子どもを持つ予定は、今のところないし、今後もない。そのかわりにちょっちょさんをかわいがろうと決めているのだ。


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家の中を散策するちょっちょさん。しかし、むやみやたらに飛び回ったりしない子で、基本は私か連れ合いにくっついている。


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こうして、ちょっちょさんとの生活が始まった。

明日は換羽から今に至るまでを書いてみたいと思う。お付き合いいただけたら、幸いである。