覚え書き

特撮好きがいろいろ書きます

やっとこさ初代仮面ライダー

特撮ファンと名乗っておきながら、今の今まで初代仮面ライダーを観たことがなかった。

 

父はどちらかというとウルトラマンゴジラなどが好きで、等身大ヒーローというものにさほど興味を示さなかったため、自分も仮面ライダークウガが始まるまでは、仮面ライダーに触れずに幼少期を過ごした。

とはいえ、父はなかなか偏屈な特撮ファンで、世界観や設定を重視する傾向にあり(それは実子である自分にもかなり濃厚に受け継がれているのだが)、ウルトラ派といいつつ昭和ではマンとセブンしか見せてもらったことがない。

父は、幼いころリアルタイムで視聴していた『帰って来たウルトラマン』で世界観が違うはずのセブンが新マンにウルトラブレスレットを授けることに納得がいかずもやもやとした思いを抱え、極めつけはナックル星人登場回で初代マンとセブンが囚われた新マンを助けに行くシーンに呆れてしまって視聴をやめたという(父は「子どもを嘗めるな」と憤っていたらしい)。

世界観が違うのに共演してしまうのは、個々の作品が作り上げた世界を破壊することだと父は言う。そのため、父はいまだにウルトラ兄弟という設定を快く思っていない。

一方で、父はウルトラマンティガ以降ネクサスまでの「ウルトラ兄弟」の設定が一切存在しないシリーズは好んでいる。同様の理由で、平成仮面ライダーシリーズもキバまでは好きなようだ。昭和ライダーでも世界観が切り離されたBLACKは観ていたが、10人ライダーが登場したことで萎えたとぼやいていたし。

そのため、私は『帰って来た』以降のウルトラシリーズも見せてもらったことがないのである。この頃になってやはり改めてウルトラシリーズを見返しておきたいと思って、『帰って来たウルトラマン』『ウルトラマンエース』までは見返した。ただ、HuluやAmazonでの視聴ができなくなってしまったためいまは中断している。

平成ウルトラマンはすべて見てしまったし、平成仮面ライダーTVシリーズはすべて視聴済み。それでは何を観ようか。戦隊はまだ3作しかまともに観ていないから戦隊を観ようかと思ったが、そういえば仮面ライダーの昭和シリーズはまったくノータッチといっていい。以前、YouTube東映公式チャンネルで配信していた仮面ライダースーパー1と仮面ライダーBLACKはちまちま観て完走したが、肝心な初代仮面ライダーは未視聴である。

 

とりあえず、現時点では14話まで視聴済みである。

ここまでの感想をちまちまと書いてみようかと思う。

とはいえ的外れなものも多いので、御寛恕願いたい。

 

1話から怪奇ものの雰囲気が強く、殺害された人間の死体が白骨を露わに融解したりと残虐でおどろおどろしい描写が多い。有能な人間は改造し、ほどほどの者は戦闘員に、全く何の役にも立たぬ人間たちは実験材料と、悪逆非道をやってのけるショッカー。クウガを見た幼少期、グロンギの殺人シーンに震えあがったものだが、当時の子どもたちもショッカーの怪人たちの残酷極まりない所業におびえていたのだろうか。

また、放送された時期は1971年。第二次世界大戦が終わって26年しか経過していない時代である。当時の子どもたちの親世代は戦争の惨禍を知る人が多いだろうし、独裁者の恐ろしさも教訓として心に刻んでいる人もいたろう。だからこそ、ショッカーというどこか軍国主義を思わせる組織は大人たちにとっても、荒唐無稽な子どもだましの悪役、ではなくどこかリアリティのある恐怖を抱かせるものだったのではないだろうか。(ちなみに、作中でナチスドイツがかつて作った兵器が登場する。また、有名な「イーッ!」という掛け声の際に取るポーズはハイルヒットラーをイメージしたものとの話を聞いたことがある。のちほど出典を調べておくのでここでは断言はしないが、もしそうならば、やはり先の戦争に対する批判精神というのもあったのだろう)

さて、こういうことを書くと、「おまえはほんとうに特撮ファンなのか」と怒られてしまうかもしれないが、自分はこの作品を見るまで、ショッカー戦闘員が初めからプロレスマスクをつけているものだと思い込んでいたのだ。14話に至るまで、素顔にペイントをした戦闘員(女性も含む)が怪人たちとともに襲い来る。これにはなかなか驚いた。

仮面ライダーの変身ポーズが、一文字隼人役の佐々木剛氏が自動二輪免許を持っていなかったために生み出されたというエピソードはよく聞くので知っていたが、ショッカー戦闘員に関してはほんとうに知らなかったのである。

だが、素顔で襲い来る戦闘員のほうがなんだか恐ろしげなと物悲しげな印象が私にはある。人間でありながら人間でなくなってしまい、異形の怪人に使役される存在というのが強調されているように感じるのだ。

まあ、単純にプロレスマスクの戦闘員は長年見て慣れ親しんでいるせいもあるかもしれないが。

 

敵の怪人が恐ろしければ恐ろしいほど、組織が強大であればあるほど、それに敢然と立ち向かうヒーローの強さはより際立つものだ。

20代の私にとっての本郷猛のイメージはもちろん、年を重ねて渋くよりたくましくなった壮年のほうで、仮面ライダー放送当時のような若く、スマートにスーツを着こなす青年本郷猛というのは新鮮だった。今やすべての仮面ライダーの元祖、歴戦の勇士、大ベテランといった風格だが、当時の彼は(もちろん強く頼りがいのある人物ではあるが)青年らしい無邪気さも感じられてなんだか感慨深い。強敵に対しては苦戦を強いられることもあり、次こそ必ず勝つために修行に打ち込むさまは青春もののような雰囲気すらある。

また、私としては変身ポーズよりもバイクに乗って風を受けて変身するほうが好きだったりする。現代風のスマートな特撮作品に慣れ親しんでいるせいか、戦闘の流れを中断するような突然の変身演出よりも、自然な流れでの変身に近いので好みなのだ。ちなみに、風をうければ変身できるのでバイクに乗っていなくても大丈夫。ショッカーはこの特性を逆に利用して仮面ライダーをピンチに陥れる作戦を決行したこともある。

 

改造され、不意に相手の肉体を傷つけてしまうほどの力を持ってしまった本郷猛。

人間と交わることの許されぬ彼は、自分と同じように改造された改造人間たちと戦い続ける。時に敵の正体がかつての親友だったとしても、悲しみをマスクの下に隠して打ち倒す。孤高のヒーロー。

そんな彼にも、支えてくれる仲間があった。

命の恩人故緑川博士の娘ルリ子と頼りになる師・立花藤兵衛である。(ウルトラマンに親しんできた自分にとって、小林昭二氏といえばムラマツキャップの印象が強いから、最初はちょっと妙な心地があった)

ルリ子は父の仇であるショッカーを倒すため、本郷に協力する勇気ある人物である。

9、10話の撮影中藤岡弘、氏が事故で負傷し出演が難しくなってしまったためにほかの登場人物たちを活躍させて急場をしのぐ必要があった。その際、ルリ子もオートバイを乗りこなし、時にショッカー戦闘員相手に格闘するなどの活躍を見せた。彼女は本郷を追って海外へ行ったという理由で、13話で降板となってしまったため以降登場しないのだが、もし藤岡氏の事故がなければ彼女はもちろん続投していたのだろう。彼女に最後まで正体を明かすことのできなかった本郷猛。彼のことだから自らの正体を告げることはないだろうが、どのような展開になっていたのか気になる。

そして、FBIの捜査官滝和也。仮面ライダーと共に戦う頼りになる男性だ。とはいえ、11話で登場して間もなく、自分はまだ14話までしか視聴していないため、まだ言及は避ける。

 

14話。ここからが仮面ライダー新シリーズの始まりである。のちに2号ライダーと呼ばれる、カメラマン一文字隼人の登場だ。前述したが、おなじみプロレスマスクの戦闘員もここから登場する。

立花藤兵衛はスナックアミーゴからオートバイ用品店立花オートコーナーへ店をリニューアル。新たな女性たちも登場し、雰囲気ががらりと明るくなったような印象がある。

変身ポーズという、今の仮面ライダーに欠かせないと言っても過言ではない要素を生み出した新シリーズ。これからの展開が楽しみだ。