覚え書き

特撮好きがいろいろ書きます

仮面ライダージオウ EP34

せっかくだから感想を書いてみようと思う。

 

響鬼編後編。

タイトルに元号が取り入れられているとなんだか複雑な気分。まあ、『ジオウ』自体が平成ライダーの総括という意味合いもあるので元号からは逃れられないのだが、現実世界の元号というちょっと政治的で宗教的な要素を架空の作品のなかに取り入れる(作中の登場人物が影響を受ける)のは、私個人としてはちょっと妙な心地が。作り手や受け手側が区分として用いるのはそんなに気にならないのだが。本編では別段改元については触れられていないのでいいが。

まあ、その話はここまでにしまして、まずは『響鬼』について。

 

響鬼』はリアルタイムでは視聴しておらず、高校時代に平成ライダーを見返しているときに初めて観た。そのため記憶があいまいなのだが、かなり好きな作品だ。

主人公はもちろん仮面ライダー響鬼ことヒビキ、と明日夢という母子家庭の少年。

思春期の彼がヒビキをはじめとした鬼や、鬼の支援組織である猛士の人々、同年代の鬼の弟子たちと触れ合いながら成長していくストーリー。また、敵は妖怪をモチーフとした魔化魍と呼ばれる怪物たちで、巨大な怪獣のようなものや従来の怪人のような姿の者もいたりとバリエーションは豊富。妖怪ものが好きな自分としては、かなりドストレートな題材だ。

もともと仮面ライダーとして構想された作品ではないためか、鬼たちのデザインをはじめほかのライダー作品とは一線を画す独特の雰囲気。主人公である響鬼はバイクに乗れないし(序盤は威吹鬼のバイクを乗りこなせず壊してしまうほど。ちなみに後半から乗れるようになれる)。

私としては、明日夢とヒビキの交流物語が好きだったため、後半からテコ入れ脚本が井上敏樹氏に変更され、がらりと雰囲気が変わり、従来の2000年代ライダーらしくなってしまったのは少し残念に思った。もちろん、そうしなければ立ち行かない状況になってしまったから仕方ない面はあるし、リアルタイム視聴をしていなかった自分には言う権利はないような気もする。

そんな後半になって明日夢のライバルとして登場したのが、今回『ジオウ』で響鬼となった京介。私の視聴した順番では『電王』が先だったので、桜井優斗役の中村優一氏が演じていると知って驚いた。そして、当時17歳だったため声変わりしたてなのか声が高い。

ちなみに登場したての彼はなかなか、いや、かーなーり嫌なやつである。

明日夢は新たに現れた京介に負けじと修行を重ねるが、あることがきっかけで鬼以外の生き方を選択することに決め、ヒビキのもとを離れることに。

自分としては、明日夢が鬼になる必要は必ずしもないと思っている。鬼としてではなく、別々の道を歩んでも、人生における師弟関係を築くラストは好きだ。

(ちなみにハイパーバトルビデオで明日夢響鬼に変身している)

 

というわけで、自分としては京介にはいまでもあまりいい印象を持っていない。かといって、ここで明日夢が登場して響鬼になるのも違うとは思うから、もし響鬼を襲名するとしたら京介だろうなと思っている。

 

さて、『ジオウ』における京介の口ぶりからしてヒビキはすでにこの世にはいないような雰囲気がある。死去していないにしても、どこか違う地域での任務に就いているのだろうか。あのヒビキが死ぬのは自分には受け入れがたいので、後者の説をとりたい。

響鬼ライドウォッチをソウゴに手渡したことにより、京介は響鬼への変身能力を失ったが、鬼の力のことを思うと響鬼になれたのは響鬼ライドウォッチの効果(どこかにいるヒビキが京介のことを認めたから発動した?)によるものであり、京介変身態になることは可能なのではと思う。もちろん、自分が『ジオウ』や『響鬼』の設定をちゃんと理解しているか怪しいのでそういうわけではないのかもしれないが。今回の出来事で正式な鬼になることができた京介は、響鬼ではなく新しい名前を手に入れられるのではないかと思う。斬鬼の弟子の戸田山登巳蔵は轟鬼という名を得たわけだし、鬼の名前の方式にのっとると、彼は「き」の鬼の名を得るのだろう。どなたかがツイートされていたのだが(ツイート主の名前は大変失礼ながら失念してしまったが)、響鬼とかいて「きょうき」と読ませるのは素晴らしい案だと感じた。

 

さて、響鬼編でトドロキが口にした”日菜佳”という女性は、『響鬼』本編ではトドロキの恋人だ。彼女を演じた神戸みゆき氏は2008年に24歳で死去されている。そのことを知っている視聴者は私を含め、思わず涙腺を刺激されたことだろう。今回でいちばんうれしかったのは、このシーンだ。

 

響鬼』から離れて、『ジオウ』のメンバーの話に移る。

前回に引き続き、ソウゴの誕生日を祝おうと試行錯誤を繰り返し、迷走を始めたウォズ。そんな彼に、事情を知らないソウゴはトドロキへの弟子入りを提案。

不承不承弟子入りをし、トドロキの手伝いをするウォズ。トドロキに、祝福とはなにか分からなくなったことを吐露すると、トドロキは「そばにいることが祝福」と口にする。それは、師を喪った彼だからこそ言えたことなのだなと感じた。また視聴者のなかにはザンキはもちろんだが、先述した日菜佳役の神戸みゆき氏を思い浮かべた方もおられたのでは。

祝福を意味を見出し、自分を取り戻したウォズは戦闘に参加し、いつもどおりの調子で口上を述べる。生き生きとしたようすで変身しようとするも、ソウゴがジオウトリニティに変身するために中断され、変身前の姿でゲイツとともに取り込まれてしまうシーンは少し面白かった。

 

ラスト、ソウゴのサプライズ誕生日パーティを決行する一同。

あれだけ「ジオウを倒す」と息巻いていたゲイツが今やソウゴが生まれた日を祝うというのはなかなか感慨深いものがある。

そして、ウォズはソウゴとともにあること、ともにあれることに祝福を――幸せを見いだせたのだろう。

 

次回はキバ編。『響鬼』でトドロキの師匠ザンキを演じ、『キバ』では主人公紅渡の父・紅音也のライバルで親友の狼怪人次狼(ガルル)を演じた松田賢二氏が登場する。また、奇しくも次回のリュウソウジャーでは『響鬼』でイブキを演じた渋江譲二氏がマスターブルーとして再び登場。楽しみだ。